「叶ってさぁ。」
「言うな。」
「え、なんでよ。まだ何も言って無いよ。」
「また『前世黒猫だよねー』だろ?」
「なんだ、まだ覚えてたんだ。別にいいじゃん、黒猫。」
「俺は猫じゃないし前世だろうと来世だろうと猫になる気はない。もー、ストパかけようかこの髪。」
「それだけはやめて。それだけは。ごめんねもう猫とか口に出して言わないからそれはやめて!」
「なんでだよ。別にいいだろ俺の髪なんだし。」
「やだ。その猫っ毛の叶を眺めたいがためにわざわざ一番近い学校に入学したんだから。」
「どんな理由だよお前。」
「こんな理由。それに、猫でいいじゃん。猫最高。」
「よくない。お前を先頭に何度からかわれたことか。お前は?お前の前世はなんなわけよ。」

「・・・・・・私の前世はジャングルを支配したゴリラだって・・・・。」

「・・・・・・ごめん。」
「・・・・・・うん。」




「叶ってさぁ。」
「んー。」
「なんで此処に居るの。」
「今俺は世界に存在することを否定されたのか。」
「違うよ。なんで川原に居るかって言ったんだよ。」
「母さんが連れてこいって。今日夕食一緒に食べようだって。」
「ふーん。メールでいいじゃないか。」
「俺も川原に座りたかったんだ。夕日を眺めて思い出に浸りたい気分。」
「いいなそれ。なんか青春小僧っぽい。私こういう時男に生まれたかったって思うんだよねぇ。」
「お前は女でいいんだよ。」
「なんでさ。」
「・・・・女だから?」
「ちょっとー叶くーん。疑問系辛いっす。」
「やっぱ女がいいんじゃないか。」
「けどさ、俺が男だったら廉ちゃんとも叶とも男の友情築いてるぜ。叶が投手で廉ちゃんが投手で俺が捕手。」
「俺とか気持ち悪い。」
「あ、それ傷つく。」
「じゃあ止めろって。だから、お前は女でいいの。俺が投手で三橋が投手でお前が応援。完璧。」
「そうなの?」
「そうなんだよ。」
「じゃあ女でいようかな。」
「そうしてくれ。」




「叶ーかのうー。」
「なんだよ、二回も呼ぶな。」
「そろそろ帰らない?おなかすいた。叶ん家のご飯が食べたい。」
「そうだな。太陽沈むしな。」
「カラスが鳴くからかーえろ。」
「なつかしー。」




「ねぇ修ー。」
「・・・・・・・・・・。」
「ねぇ、修ー。修悟ー?修ちゃーん。」
「何回も、呼ぶなっ。」
「うわ、照れてる。かわゆーい。」
「うっせぇよ。早く帰るんだろ、さっさと立てよ。」
「立てない。立たせて。」
「重そ・・・。」
「失礼な。重くない。」
「あーはいはい。じゃあ引っ張るぞー。」
「うん。ねー、修悟ってさぁ、私の事好きだよね。」

ガツンッ

「イタッ!」
「ださ、叶ださっ。人起こそうとして自分転ぶやついるかー?」
「お、お前が変なこと言うからだろ!」
「変じゃないもん普通だもん。ねぇ、修悟って私のこと大好きー?」
「お前もう口開くなっ!」
「はーい。」

「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・嘘、ごめん。やっぱ喋ろう。」
「はーい。ねぇねぇ修悟ってさぁ、」
「おなかすいた。早く帰ろう。」
「・・・はーい。私もお腹空いた。」




「なあ、ー。」
「んー?なんだい修悟ー。」
「手、繋いで帰ろう。」
「・・・。うん、いいよ。」




「修悟ぉ。」
「んー。」
「修悟って私のこと好きだよね。」
「そうだな、好きだな。」
「うわーすげー黒猫ちゃんがアイノコクハク。」
「やっぱ嫌いだな。」
「うそごめん。修悟に嫌われたら廉ちゃんの居る学校に転校する事に決めてるから嫌わないで。」
「マジ?」
「まじ。今決めた。」
「なんだ、じゃあしねぇじゃん。」
「・・・あ、もしもし母さん?私やっぱ転校するわ。」
「俺が悪かったんだ、ごめん。ウソだから、嫌いって嘘。」
「やっぱ転校するのやめた。ん、修ちゃん家でご飯食べてく。・・・うん、ばいばい。」
「いつの間に電話してたんだよ、見えなかったんだけど。」
「神の業ってやつですね。携帯早押し大会で堂々の一位を勝ち取りました。」
「マジで?」
「ウソ。」




ってさぁ、俺のこと好き?」
「うん、好きだよー。」
「三橋は?」
「可愛い。」
「俺は?」
「好き。」
「そっか。」
「嬉しい?」
「・・・ん。」




「今日の夕食は何かな修悟くん。」
「カレーだってさ。」
「やった。カレー。激辛でよろしく。」
「そんなん食べれるのお前だけだって。」
「お前じゃない。」
「・・・そんなん食べれるのだけだって。なんで言い直させる。」
「だって名前で呼んでもらいたいんだもの。オトメなんだもの。」
「男になりたいんじゃないのかよ。」
「そしたら修悟はホモじゃん。気持ち悪くなっちゃうでしょーが。」
が男でも恋に落ちる設定?」
「そうなんだよ、物分りが良くて結構。」




「明日から一緒に学校行かないかい。」
「学校違うだろ。それに俺朝練あるし。」
「いいよ。起きるよ。修悟の朝練見てから学校行く。それで帰りは送ってもらう。」
「そうか、そうくるか。」
「んでもって、三日間は修悟の家のお世話になる。カレーは三日持つらしいよ。」
「それじゃあ二人で俺の家まで帰るってか。」
「そう。」




恋人みたいでしょ、と言った彼女の顔は赤かったけど、
馬鹿じゃないのかおま、は、と言った俺の顔はもっと赤いだろう。



夕日は沈んでしまっていてそれのせいにできないのは辛い。






(繋いでいる手が暖かくて心地よい)

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9割会話だと楽だ。
最初の方の会話で叶くんの黒猫の話はふりすたの影響です。すっげー可愛いの!
ただ叶くんは私が書くと偽者君になってしまう。精進精進っと。
次は榛名さんとか準さんとか三橋とか、投手組いきたい。

つまり叶は『おお振り!投手恋愛シリーズ』第一弾ということで。
・・・シリーズ化は私の力量不足でできないと思いますが!(どっち)


<<07.8.23>>