「何、僕の事舐めてんの?」
「いえいえ、そんな事はありませんよ。」
「舐めてるだろ。年下からかって楽しいわけ?」
「いえいえ、ですから、からかってもいませんし、舐めてもいませんよ。」


舐めてるじゃないか。
そうやって品の良い(そして反吐の出る)笑い顔貼り付けて、いつもの服装とは違って着物着てて、汚い言葉を並べた貴女が、いきなり敬語?やっぱり、舐めてるじゃないか。


「やはり親戚の方々に挨拶をしなくてはと思いまして。」
「ふーんそう。だったら僕に声掛けないでよ。挨拶なら父さんだけで十分だろ。」


僕の知らない貴女はとても綺麗だけど、そんなの貴女じゃない。そんな貴女の声も聞きたくないし、第一構ってる暇は無い。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。咬み殺しても良いだろうか?いや、貴女を咬み殺す行為自体が馬鹿馬鹿しい。


「そう邪険にしないでくださいよ、恭弥さん。折角の私の晴れ姿だって拝んでおいても損ではありませんよ?」
「恭弥さん?それ僕の事?うざいよ、貴女。というか貴女の姿に興味なんて湧かない。さっさと僕の目の前から消えて。」
「酷いですよ恭弥さん。ああ、でもそろそろ時間の関係がありますので。お父様に伺わせていただきますね。まだ此方に滞在していますので、何かありましたら此方の方へ・・・。」


差し出された紙を受け取らないと、貴女は困った笑みを浮かべて無理矢理ズボンのポケットにねじ込んだ。
凄くうざったい。要らないって拒絶の意味だって解ってるんだろうか。本当に頭の螺子何処かに落としてきたのか。元々馬鹿だったけどこれほどまで他人の気持ちを察知できない奴は初めてだ。


「それでは・・・あ、絶対に来てくださいよ。」




結婚式。




馬鹿じゃないのか、貴女。
そんなのしたくないならしたくないって断ればいいのに。政略?恋愛?それが貴女の本当なんですか。
何かありましたら、だって?何かあるのは貴女の方なのに。本当に馬鹿なのか?僕に声を掛けるなら、
まずその気品と言葉でべちゃべちゃに塗り固められた薄汚い仮面を外してから来い。苛々するな。
救いようの無い、不幸せ者




・・・まあ僕には関係ない。ただの馬鹿一人が『落ちた』だけだ。
割り切って、あの人の顔を忘れよう。ポケットに突っ込まれている紙をポケットごと握りつぶした。








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幸せとは。
多分前編になります。ずっと前からやりたかった雲雀いんちょー!
これ、凄い短編らしい短編になりました!小ネタの完成だやった!


<<07.9.4>>