「・・・万斉。」
「なんでござるか。」
「お前、同性愛者をどう思う。」


高杉晋助が壊れた。と、その場に居た誰もが確信したに違いない。
窓の外を眺める視線はいつもの獣のような目では無く、どちらかというと虚ろなものだった。


「同性愛者?ほもやられずやらのことでござるか?」
「それ以外の何がある。」


万斉と話しながらも、視線は船の甲板でまた子と遊ぶ人物に釘付けだった。
、今は商談の為此処に留まっては居るが、星々を駆け回る武器商人である。
そして、元攘夷志士。女性でありながらもその腕前は中々のものと言われていた。
雪の中、楽しそうに遊ぶ今の彼女からは全く持って想像はつかないのだが。


そんなを見て、高杉は不機嫌そうに眉を顰めている。
自分の想い人を見てそんな顔をするのは些かどうかと思うが、高杉の心境を察するのは至難の業。
いつ誰に斬りかかるか解らない状態であった。そんな折の、発言である。


「いきなりどうしたでござる。」
「そりゃ俺が聞きてぇところだよ。なんなんだ?女同士の何が良い?何にもヤれねぇじゃねぇか。」
「そういう問題ではないでござるよ。・・・もしや、殿が?」
「・・・・・・・・・・。」


万斉に移された視線は、いつもの鋭い光を宿している。図星であった。
彼女が地球に帰ってくることは少ない為、中々会えない。
そんな想い人がいきなり同性愛者だと告白をしてくれば流石に参るだろう。


殿はなんと?」
「・・・自分は『同性愛者』なんだとか、それが好きなんだとか言いやがった。狂った趣味してやがる。」
「狂った趣味をしているのは晋助も同じでござる。狂った趣味した女子を好いた狂った高杉で有名になれるでござるよ。」
「叩っ斬られてぇのかオメーは。」
「いやいや。それより晋助。」
「んだよ。」


殿のフルネームを知っているでござるか?」
「は?」


何のことだと睨みを効かせる高杉の隣に歩み寄り、一緒になって外を眺める。
外では、頭から雪を被るにまた子、更に武市まで加わっていた。微笑ましい光景に口元を緩ませながらも、
窓越しのに手を触れて、一言。




「高杉 でござるよ。」


















愛者


「・・・ちっと外に出てくる。」
「何しに行くでござるか?」


早々に上着を掴み部屋の扉に手をかける高杉に、にやにやとした笑顔を浮かべながら問いかける。


「・・・っ、雪遊びだよッ!!」


そう吐き捨ててぴしゃりと扉を閉めた。すぐに、廊下を駆ける足音。


「・・・あ、もしもし殿?晋助がやっと真意に気が付いたでござるよ。」


もちろんそれが万斉の作戦だとも知らずに。







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おかしいことになってしまいました。同性愛者と同姓愛者をかけたかっただけです。
前に書いてボツったもの。途中までやって挫折。ぽっきりいきました。というか、
ごった煮部屋にあるの殆ど挫折して長さなくなったものばかりなんですがどうしよう・・・!

高杉が偽杉・・・。あの人かっこいいから難しいんですよ!(言い訳)
ていうか万斉さんも偽者臭い・・・あの人ほとんど人の話聞かない人でしょ!?


<<07.9.7>>