疲れた様子で私の隣に男の子が腰掛けたのは随分前の話。 土から出てきてその短い生涯を女といちゃこいて過ごそうと一生懸命な生物が、あたしが知る限り蝉だけなんだけど、ありったけの声量で鳴いていた。もちろん奴等に女を丸め込んで「へっ!ハーレムだぜ!」っていう意思は無い。と思う。奴等は自分達と同じように短くしか生きれないべいびぃを作ろうと躍起になってるだけなんだ。ある意味、シャバの空気吸ったら麻薬みたいに発情期突入しちゃうえっちぃ奴等。奴等が女を集めるために出す声にうんざりする人間も少なく無いと思うけど、あたしはこの鳴き声が大好きだ。 夏を感じさせてくれる。 「「・・・・・・・・・・・・・・・。」」 風の無い日だった。奴等はみんみんみんみん鳴いて気温を高めるのに、それを抑制する風は一瞬たりとも吹かなかった。だから自分で風を作るしかなかったんだけど、このキィキィ鳴る年老いたブランコを漕いでしまったら隣の少年の微かな呼吸が聞こえなくなると思ったから漕がなかった。 「「・・・・・・・・・・・・・・・。」」 少年は太陽が真上に昇る正午にふらふらとやってきて、あたしの隣のブランコに腰掛けた。三十分くらいは律儀に時計を見ていたけど、きっちり三十分後からはずっと俯いて地面ばかり見ていた。それから更に一時間半経過する。 「「・・・・・・・・・・・・・・・。」」 あたしは、声をかけない。だってさ、なんで地面見て黙りこくってんの?って聞かれて地面が見たかったからって答えられると虚しいし、あたしなら気が済むまで放っておいてほしい。何をするのにも理由があるんだから。だけど、流石に一時間以上指一つ動かす事無く地面を見ていたら後ろから照らす太陽に体の水分を全部持っていかれてしまうのではないかと思った。何度も言うようだけど今は奴等が子作りに夢中になっている時期、つまり夏である。地球温暖化が進んでいようが夏が暑いのは変わらない。むしろ全体的に気温が上昇していっているのだ。 「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」 死んだように地面を見つめる瞳。体は小柄で、あたしの推測ではまだ中学生になったばっかのお兄さんだ。あたしより二つ年上のお兄さん。精神年齢はもっと低いと思う。 「・・・・・・お兄さん。」 「・・・・・・・・・・・・・・。」 「中学生のお兄さん。そんなに地面ばかり見てたらお日様に殺されちゃうよ。あそこに水道あるから、水飲んでおいで。」 あたしが声をかけるまでお兄さんはあたしの存在に気が付かなかったみたいで、顔上げたお兄さんの死んでいた目が大きく見開かれた。 「あ・・・。」 初めて聞いたお兄さんの声は年に合わず低くて掠れていた。お兄さんは首をかしげると喉に手をやって、もう一度掠れた声を出した。今度は少しましな声が出たけれど、お兄さんの体は十分な水分を求めている事があたしにも解った。お兄さんは喉を擦りながら眉を顰めると急ぎ足であたしが勧めた水道まで行って蛇口を最大まで捻ると口から溢れるほど水を飲んでいる。 「お兄さん大丈夫?」 ずっと水に口をつけたままのお兄さんに少し声を張り上げて問うと、その姿勢のままこくりと頷いた。 ・・・喉、相当渇いてたんだな。 「・・・ぷはっ。」 やっと水から顔を上げたお兄さんは、最大まで開かれた蛇口を早々に閉めると駆け足であたしの所まで戻ってくる。 「お兄さん、落ち着いた?」 「うん、ありがとう。言ってもらわなかったら脱水症状起こしてた。」 「そっか。よかったね、お日様に殺されなくて。」 「うん、そうだね。」 そういうとお兄さんはまたブランコの、あたしの隣に腰掛けた。太陽が傾いてきて丁度あたしたちの場所が日陰になってくる。影で暗くなってもお兄さんの顔は明るいままで、さっきまで死んだ目をしていたのが嘘みたいだった。飲む時跳ねた水は顔にしっかりひっついて子供っぽいけど、その雰囲気は予想していたものよりもずっと大人びてて、不思議な感じだった。 「お兄さんなんであんなになるまで地面を見つめてたの?」 「何もすること無かったから、地面を見てようと思って。」 「地面見てれば何か解るの?」 「ううん、何にも。だけど僕にはそれしかすること無いから。」 あたしを振り返って苦笑いをするお兄さん。正面から見たお兄さんは片目に眼帯してた。怪我でもしたのかと聞いてみようと思ったけど話題を逸らす事になるだろうからすぐにやめた。 「もしかしてお兄さん迷子なの?」 「なんで解ったの?」 「よく来るもの。子供の迷子も、大人の迷子も。」 「そうなんだ。」 凄いね。っていうと、お兄さんは軽くブランコを漕ぎ始めた。また止まってたら太陽に殺されそうになると思ったんだ。あたしも同じようにブランコを漕ぎ始めた。あたしとお兄さんが同時に漕ぎ出したから年老いたブランコはあたしが予想した通り悲鳴を上げ始めた。 「お兄さんお名前は?」 「僕は亜紀人。君は?」 「あたしの名前?うんと、多分。」 「なんで多分なの?」 「忘れたから。」 普通の人は自分の名前を忘れたりしないと言う事は知っているけど、中々思い出せないのだからしょうがない。もしかしたらあたしの名前は愛樹なのかもしれない。白花なのかもしれない。真珠なのかもしれない。だけど多分あたしはという名前なんだ。あたしは。今度からこの名前を覚えておこう。 「亜紀人お兄さん、この公園に来るのは始めて?」 「うん。そうだよ。」 「ああ、だからこのブランコに乗ったんだ。」 「どういう意味?」 「あのね、この近所のお母さんたちは子供をブランコに乗せないの。」 「僕子供じゃないよ。」 「子供だよ。」 軽く頬を膨らませて怒るお兄さんを見てあたしは笑ってしまった。違うよ。お兄さんが変なんじゃなくて、お兄さんのその顔が変なだけだよ。違うよ、子供だという事に笑ったんじゃないよ。そう言いたくても抑えながら笑うのに必死で言えなかった。あたしがそうやって笑っているうちに、お兄さんは近くなったり遠くなったりする景色を見回す。端から、ベンチ、草むら、砂場、滑り台、奥の方にに水飲み場、この公園にしかない土管、そしてこのブランコ。全て見回した後、膨れっ面のままあたしの方を振り返った。 「・・・なんで、このブランコでは遊ばないの?」 「あはっ・・・ふ・・・っ・・・!」 「ねえ、なんで?」 「ふふっ・・・ん、あのね、このブランコの下にね、人が寝てるんだって。」 「・・・寝てるの?」 「そう。寝たまま、埋まってるの。」 大きく膨れていたお兄さんの頬が次第に萎んで、最後には元の大きさになった。ショックだったのかな、それとも、呆れてるのかな?あたしはお兄さんと知り合って間もないのでどっちか解らなかったけどさっきとは違う顔つきになったのは解った。あたしは漕いでいたブランコをゆっくり止めると俯いて自分の下をつま先で二回三回叩いてみる。 「そこに埋まってるの?」 「うん。此処に寝てるの。」 「誰も助けてあげないの?」 「都市伝説みたいなものだもん。誰も信じてないの。あたしが言った事、誰も信じてくれない。だけどね、ここでブランコすると子供が怪我しちゃうんだって。やっぱ居るのかもしれない。だけど居ないのかもしれない。そのままずるずる話が延びて今はうやむやになっちゃったの。だから誰も起こしてくれないの。」 お兄さんも止まって、もう一度あたしの足の下をまじまじと見る。普通に土があって、その上にアヒルが泳いでる絵が描いてあるマットが敷いてあるだけ。普通のブランコの下だった。 「なんでその人埋まってるの?」 「その人って言うほど大きくないよ。子供だよ。」 「小っちゃい子が、なんで?」 「亜紀人お兄さん、真面目にお話聞いてくれるの?もうあたし馬鹿にされるの嫌だよ。」 「うん。馬鹿にしないよ。ちゃんと話も聞くよ。ちゃんの言う事信じるよ。」 あたしはお兄さんの言葉と笑顔を信じてみることにした。今までこの事を聞いてきたどんな人より信用できると思ったから。さっきから全然時間が経ってないように思えたけど、いつのまにか周りはどんどん赤く染まってお日様はどんどん変色してきてる。ゆっくりゆっくり影が伸びてほっそりしてきてあたしたちの前に現れる。あたしはもう一度ゆっくりブランコを漕ぎ出した。 「ここに寝てる子ね、近くの小学校に行ってた女の子なの。九歳だったんだ。お家だとママが働いててパパは家に居た。ママね、いっつも夜お出掛けしてお仕事して帰ってくるの。だからその子ね、あんまりママには会えなかった。しょうがないもんね、夜にお仕事してるんだもん。だけどパパとも会えなかった。パパは女の子が学校に行く時も寝てて、帰ってきても寝てるんだよ。だから女の子がね、聞いてみたの。パパはお仕事しないのって。そしたらパパは昼間にお仕事行ってるんだよって言ったの。」 「女の子のママ、どんなお仕事してたの?」 「うんと、よく解らない。お兄さんとかおじちゃんとかとお仕事するって言ってた。」 「女の子の、ママって・・・、・・・ううん、なんでもないや。続けて?」 「うん。」 「でね、ある日ね、女の子のママが泣きながら帰って来たの。女の子はね、久しぶりにママとお話しできて嬉しそうだったけど、パパはすっごく怒ってたんだ。怖かったって。その日学校のお友達と遊ぶ約束してたのにお外に出してもらえなくてずっと押入れの中に入れられてたの。押入れの外ではパパとママの怒鳴り声とか、泣き声とかいっぱいいっぱい聞こえたの。」 「パパとママは喧嘩してたの?」 「うん。パパとママが喧嘩してたの、初めて見たんだって。」 「暗いところに居たら眠くなって、だんだんうとうとしたら女の子寝ちゃったの。それでね、どの位寝たか解らないけど、起きたらここに寝かせられてたんだって。パパとママがやったの。パパは焦った顔しながらママは泣きながら女の子に土をかけたんだって。女の子ね、苦しくて苦しくてずっと土を掻いてたんだけどまた眠くなって寝ちゃったの。それから、そのまんま。」 それが、あたしが聞いたこと全部だった。実際あたしが見たわけじゃないから女の子がどの位苦しくてどれくらい泣きたかったかしらないけど女の子は辛そうだった。話終わった後、隣からひっくひっくと何やら泣き声のようなものが聞こえてきたので女の子かと思ってみてみたらお兄さんが泣いていた。片手でぎゅっと錆びたブランコを掴んで片手で一生懸命目元を拭っている。あたしは吃驚した。今までこの話をした人は笑うか呆れてどっか行っちゃうかふーんと言ってまたブランコを漕ぎ始めるかしてたから。 「亜紀人お兄さんなんで泣いてるの?」 「だって・・・!自分のお母さんとお父さんに埋められちゃうなんて可哀相だよぅ・・・!!」 まるで女の子みたいだ。女の子みたいに泣いてる。男の子は泣かない生き物だという認識があったから余計あたしは吃驚した。 「亜紀人お兄さん泣き止んでよ。あのね、その子ね、どうじょうされるのがすっごく嫌なんだって。どうじょうされるの嫌いなんだって。だから泣かないであげて。ねえ亜紀人お兄さん。」 「うぅ・・・ごめんなざいっ・・・!!」 女の子から一回もそんな事聞いたこと無かったけどきっと女の子が此処にいても同じ事を言っただろうと思って言ってみたらまた大きな声で泣き出してしまった。逆効果、だ・・・。しかたが無いのであたしはお兄さんの背中を擦ってあげようと立ち上がろうとしたら足が動かなくて立てなかったのでお兄さん泣かないでと声をかけるので精一杯だった。 「僕、僕っ・・・絶対此処に穴掘って女の子を助けてあげる・・・!!」 「亜紀人お兄さんはそんな事しなくて良いよ。しょせんは都市伝説なんだよ。伝説、嘘。皆がそう言ってるんだから本当にしちゃ駄目なんだよ。」 「でも、でもっ・・・!」 「亜紀人お兄さん。女の子はお話が出来ただけでも満足してるんだよ。それだけで十分だって。だからね、泣かないで。」 「うっ・・・・。」 目を何度も擦って泣き止もうとしているお兄さんを見て、これでもうお兄さんは大丈夫だと一人で納得する。それに、そろそろだった。そろそろだな、そろそろ来る。 「おーい、亜紀人ー!!」 「・・・あ。」 お兄さんは目を擦るのを止めて前を見ると目を見開いた。視線の先には男の人が一人、お兄さんの名前を呼びながら公園に入ってきたところだった。つんつん頭、怖そうなお兄さんだ。だけど怖そうなお兄さんを見てお兄さんが嬉しそうに笑ったので悪い人ではないんじゃないかな。 「イッキくん!!」 お兄さんは、怖そうなお兄さんの名前を呼ぶとブランコから立ち上がって勢い良く走り出した。よかった、お兄さん迷子じゃなくなったんだ。あたしは、安心した。 目を閉じて、ブランコを漕ぐ。すると、年老いたブランコはキィキィと悲鳴を上げて動き出した。 「イッキくん!」 勢いよく僕が飛びつくと、僕の体当たりに耐えられなかったイッキくんはよろよろと数歩下がる。けどすぐにがしがしと僕の頭を撫でてくれた。もう何日も会ってなかったみたいに懐かしくて自然と涙が出てきた。 「ったく、携帯置いてくわ、迷子になるわ・・・。あんま周りに迷惑かけるなっつーの!」 「・・・・ごめんなさい。」 「・・・ま、まあ。野垂れ死んでなくて良かったけどよ。」 僕が申し訳なくってしょぼんとすると、励ますようにまた頭を撫でてくれた。本当にイッキくんは優しい。もう結婚とかできるならしちゃいたいよ。(って前に咢に相談したら やめろ馬鹿そんな事したら俺は死んでやる とまで言われちゃったから口には出さない。) 「にしても、お前なんでそんな目ぇ腫らしてんだよ?もう迷子になって泣くトシじゃねーだろ。」 「あ・・・。」 それを聞いて、僕はこの公園に来てからの事を、女の子の事を、唐突に思い出した。忘れてたわけじゃないけど、何故か頭から完全に離れていたんだ。可哀相な女の子の話。お母さんは風俗で働いてて、お父さんは無職の、女の子が埋められちゃった話。心が痛くて痛くて女の子が可哀相で仕方がなかった。もっと楽しいことを体験して欲しかった。もっと色んな事を知ってほしかった。話を聞いただけでそう思ってしまって、僕は女の子に慰められてて・・・。そうだ、あの女の子。脱水症状になりかけてたのを助けてくれたちゃん。白いワンピースに長い綺麗な黒い髪。夏なのに涼しそうな顔して居た。僕まだちゃんにお礼言ってない。 「僕、この公園で女の子に助けてもらったの。ブランコでちゃんって子と会ったの。お礼言ってくる!」 「・・・・は?」 イッキくんは口を大きく開けて呆れた顔をした。女の子に助けてらもうのは良くなかったことなのかな?いや、そんな事ないよね。だってイッキくんだっていっつも林檎ちゃんとかのお世話になってるもん。 「お前、確かにココ公園だけどよー・・・。何?暑くて幻覚でも見てたか?」 「違うよ、ほら、あのブランコ、そこに女の子が・・・え?」 信じてもらえないのが納得いかなくて、振り返って今まで居た場所を振り返る。けど、指差した僕自身が頭に疑問符を浮かべるハメになった。 「ちゃんが、居ない?ブランコも・・・?」 さっきまで其処に居たのに。さっきって言ったって、つい数分前の話。入り口は此処にしか無いからもし出て行ったなら解る。というか、ブランコが無い・・・?だって僕ずっとあそこに座ってたんだよ?座ってイッキくん待っててちゃんと話してた。なのに、その全てを否定するようにそこには何も無かった。 「此処の公園のブランコ、俺がちっせー頃に外されたぜ?なんか、事故が多発して安全性に欠けてるとかで。」 「嘘だよ、だって僕、今まであそこでブランコして埋められた女の子の話してたもん!!」 「そういわれても、ねぇもんはねぇんだからよ。あ、でもそれ噂だったな。女の子の死体埋められてるっての。」 イッキくんは夢でも見てたんだろうって言って、僕の頭を掴んで早い足取りで公園を離れていった。イッキくんの顔は少し青ざめてて、何か、恐ろしいものでも見たような顔つきになってた。公園から離れると、あそこで人が行方不明になったり死んだりしてんだよと教えてくれる。だから誰もあの公園には近づかないって。僕は、何度も何度も公園を振り返ってちゃんを思い出す。じゃあちゃんはなんだったんだろう。あのブランコはなんだったんだろう。埋められてる、女の子。可哀相だ。可哀相だよ。誰かが助けてあげなきゃいけないんじゃないのかな。誰か、助けてあげて。誰、か。 後日、僕はどうしてもちゃんと女の子の事が気がかりでしょうがなかったので公衆電話の口の所にハンカチを当てて匿名で『○○公園の、ブランコがあった場所に人が埋められてます。』という電話を警察の人にしてみた。ネットで噂も流してみた。これで見つからなかったら僕は自分が頭がおかしくてラリってて夢を見ていたと認めようと決心していたので自分の行動が恥ずべきものでは無く意味のあるものだと思っている。警察の人だって悪戯だと思って捜査をしてくれないかもしれない。それでも、ちゃんの言った事を信じると約束した僕は誰かに助けを求める必要があった。 さらに数日後。カズくんがお家に来て、興奮気味に今朝の新聞を見せてくれた。一面に白骨死体の写真が大きく載せられた新聞だった。 「これさあ、俺らがよく遊んでた公園の、ほら、ブランコ消えただろ?あそこから出てきたんだってよ!スゴクね!?近所でこんなコト起こるとか思わなかったぜ!白骨死体、九、十歳くらいの女の子のなんだってさ!」 「カズくん、それ見せて!」 僕は力任せにその新聞を引っ手繰って隅から隅まで見回す。両親を逮捕、お金に困ったという供述・・・僕には両親の気持ちが理解出来なかった。女の子を、自分の子供を、お金が無いって理由で殺すこの人たちが怒りを通り越して怖いとさえ思った。写真の女の子。まだ少しだけ残っていた髪は土で汚れていたけれど綺麗な真っ黒い髪で、肩くらいまでしかなかったけど本当はもっと長かったんだ。ずたずたになったワンピースは元は白色で、この子が着るととても綺麗に見えたんだ。 「、ちゃん。」 写真を見て、やっと気が付いた。この女の子、ちゃんだ。理屈とか証拠がある訳じゃない、けど絶対にそうだ。これはちゃん。殺されたのは、ちゃんだったんだ。他人事のように話してた。だけど、泣きたくて辛かったのはちゃんなんだ。泣いてたというちゃんのママより、ちゃんの方がもっともっと、大変だったんだ。ずっと一人で、公園でブランコを漕いで、誰かが助けてくれるのを待ってた。誰かが自分を見つけて助けてくれるのを待ってたんだ。 「う、ぅう・・・ひっく・・・!」 「お、おいちょ、亜紀人!お前何泣いてんだよ!?」 「落ち着けー!写真だ、骨とはいえ写真なんだ!泣くな!怖くねぇから!!」 後日のさらに数日後の翌日、僕はブランコのあった場所に行って花束を置いてきた。周りは黄色いテープが張られててブランコがあった場所まで行けなかったけど、見張りをしていた警察の人にお兄ちゃんの名前を言ったら入れてくれたんだ。みんみんみんみん、蝉が自分の生涯を精一杯生きようと鳴いているのはとても暑くて暑くて嫌になっちゃうけど、その声を聞いてちゃんが笑っているような気がしたので今日だけは蝉を疎ましく思うのはやめようと思った。 ---あとがき--------------------------------------------------- うーん。タイトルが決まらない。というかセンスが無いです。そして駄作。 初★ホラーもの!頑張りましたかと聞かれればひーひー言ってましたと答えられます(おい) 季節外れのお話でした。(ほら、まだ三月中旬なんで/笑)でも今地球温暖化とかで暑いじゃないですか。いいんですよ。もう今は夏だ!(馬鹿だろ)さり気なく前に棲んでいた場所の近くに合った公園をモチーフにしてみました。土管があるので、通称土管公園。誰か知ってる方いらっしゃいますでしょうかね? テーマはないけど、今の人類の様子を書いてみました。 最近親殺したりー子供殺したりー地球殺したりーってのが多いじゃないですか。すこしだけストップしよう!っていう意味を込めてみたり。 夏とかに読み返すといいかもしれない。けどその頃には読めるような代物じゃないと気が付くでしょう!! |