じーん、じーん 後者。 あの野郎様は私の頬に容赦なく鉄拳を繰り出してくださいました。ええ、声にも顔にも出しませんがとても痛いんです。ですがゴリラの手前でふんぞり返っていますが紫縁眼鏡がえばろうとなんとも思いません。じーんと痛む頬を押さえていたら私のお友達が数人駆け寄ってきてあの野郎様を非難なさいましたが効果は得られず。もちろん期待などしていません、やつが私を殴って反省をするとも思っていません。 チャイムが鳴りましたので彼女たちに礼を言って私はあの野郎様の隣に着席しました。 「Hey,。お前また派手にやられたじゃねぇか。」 「政宗。今私に話しかけないで下さい。とても、人とまともに話が出来る状態ではないので。」 怒りを露にすれば、政宗は口笛を吹いて自分の席へ付きました。 これから私の反撃戦です。 「あー・・・頬がとても痛みます。痛いなあ、凄く痛いなあ。」 「どうかしたのかい、さん。あまり綺麗とはいえない顔が歪んでいるよ。ざまーみろ。」 「貴方、丁寧な言葉を使うか下品な言葉を使うかどちらかにした方がいいと思いますよ竹中くん。」 わざと頬を擦りながら隣を向かずに話しかければ鼻で笑われました。貴方が殴ったんですよ、貴方が。やはりこの人は私の神経を逆撫でするのが好きらしいですね。授業が北条先生ので良かったです。あの人の授業は多少聞かなくても理解が出来ますから。そうだ、昨日の夜の話をしなくては。 「竹中くん、昨日の夕食はなんでしたか?私はハンペンでしたよ。ハンペン。焼きハンペンです。それでですね、私が焼いたんですけど綺麗に焼けていく半兵衛は見ていて実に滑稽でした、あれ、間違えましたハンペンでしたね、竹中ハンペンくん。」 「僕の家は竹中家秘伝の味付けで作ったカレーだったよ。ああ、そういえば僕も食している時に大きいジャガイモを見ていて君を思い出してしまった。それで食卓の話題は殆ど君だったね、クラスにジャガイモ顔の気持ち悪い女が居る事を話せて僕は満足だったよ。」 彼の厭味は私のに負けるものだったのを本人は自覚しているらしく、手に握っているシャーペンが一本天国へ旅立っていきました。ざまーみろダメガネ・ハンペン。因みに私はジャガイモ顔ではありません。 「ところでハンペ、竹中くん。貴方この間の期末テストの数学何点でしたか?私は九十八点でした。」 「僕は百点。あれ、ジャガイ、さん、君数学は得意だと言っていたけどあれは法螺吹きだったのかな。それとも僕の頭が良すぎたのか・・・。きっと両方だろうね。」 「そうですか?ゴリラ、あらら、間違えてしまいました。豊臣くんに聞いたんですが他の点数は私より劣っていたらしいじゃないですか。頭が良いと自分で言っている時点で法螺吹きも良いところでしょう。」 「でも英語は君の方が悪かったとも聞いたよ、慶次くんから。Fuck you。」 「私と性交したいんですか、気持ち悪いですね竹中ハンペンくん。お断りですよ汚らわしい。」 「さん、僕はくたばれメスブタこの野郎と言ったんだ。英語出来ないのは本当のようだね。」 はぁ、とわざとらしく溜め息を付きながらハンペンのクソメガネは新しいシャーペンを取り出して板書に移っています。 「ああそうださん、君の一世紀前並みの頭でも解る英語の問題を出してあげるから答えてごらんよ。」 「五世紀前並みの思考回路しか持ち合わせていない竹中くんに言われても腹の立つのはの字も出てきませんがどうぞ言ってみてください。」 「じゃあ僕が日本語言うから訳してくれたまえ。『私はとても頭の悪い子です。馬鹿でひ弱な癖に竹中様に逆らった事をお詫びして竹中様の靴を舐めさせていただきます。』解らなかったら日本語でも許してあげよう。」 「ねぇ竹中くん、私間違えました。貴方の思考回路は五世紀前がどうとかいう以前に小学生並みですね。」 「じゃあ君は幼稚園生並み・・・既に物事を考えられる次元の話ではないんだね?」 「それじゃあ貴方の唯一のお友達である豊臣くんは赤ん坊レベルですね。そういえば赤ん坊の頃って握力や腕力が強いんですよね。まさにぴったりじゃないですか。」 こいつに私の靴を舐めさせる。彼は一瞬ぴくりと笑っていた口元を痙攣させました。ハンペンは友達少ないから豊臣くんのことを出すととても怒ります。先に言っておくと私は別に豊臣くんが嫌いなわけではありません。所謂ハンペンを怒らすネタというやつです。ごめんね豊臣くん。 「ねぇ、ジャガイモ。」 「はいなんでしょうハンペン。」 「Take it back. The more I hear about it, the more disgusted I get. You're getting on my nerves. Are you crazy?」 とてつもなく悔しいのですけれど、今竹中くんが何を言っていたのか解りませんでした。しかし、口元がすごく笑っているのでハンペンが私を馬鹿にしたのはよく解ります。これもとても悔しいことなのですが、私の英語力・・・特にリスニングは中学生の域から出られません。私はすぐにその台詞に返事をせず、すかさず後ろの席の政宗にルーズリーフに書いた手紙を投入すれば、しばらくして返事が返って来ました。彼は何処がどう面白いのかしりませんが私たちの会話をよく聞いています。今もくつくつと笑ってる声が聞こえてくるのです。本当に、何が面白いんでしょうか? ルーズリーフを開けば私の文字の下に男の人とは思えないほど丁寧な文字が書かれていました。少しぶれているのが気になりますがそれより気になったのは訳された内容です。 「竹中くん、貴方の方こそ言った事は取り消した方がいいですよ。それと聞けば聞くほどうんざりしているのも神経逆撫でされているのも此方だって同じですからまるで自分が完全な被害者みたいな言い方しないでください。頭おかしいのは貴方です。」 「なんだ、後ろの彼に聞いたの?君本当に英語ができないんだね。」 「けれど貴方が最低な人だという事なら解りますよ。たしかに、女子に手を上げた時点で負け犬ですね、ハンペンくん。」 「君が女?嘘も大概にしたほうがいいよ、君が女ならこの世に存在する雌は全て女神だ。」 「しってますか、貴方このクラスでホモだって噂されているの。この際ですから下切り取って男止めた方が良いと思いますよ。」 「その前に君が上切り取ってショック死すればいいと思ったんだけどどうだろう?」 「全くです、貴方が死んでくれるだけで何万人が救われるか。」 「くくっ・・・。」 後方で、私を呼ぶ声が聞こえたので振り向いてみたら目尻に涙を溜めている政宗が居ました。なぜ泣いてるんでしょうか、悲しい事があったのか、胡椒食らったかどっちかだと思いたいですがきっと私たちのやりとりは面白いのでしょう。彼曰く。 「なんですか政宗。」 「取り込み中わりぃんだがよ・・・。」 涙を拭いながら私より前方を指さしたので、前を振り返ってみればご立腹な北条先生が私と竹中の野郎の前にでん、と立っていました。何を怒っているのですか、と聞くのは愚問だと思いますし一々聞いていたらキリがありません。先生が怒っている理由は大体解っているつもりなので。心無しか隣の竹中くんも顔を顰めています。 「、竹中、廊下に立っておれ。」 「先生、とうとう頭でも狂いましたか?この私が下種や、竹中くんと一緒に廊下に立てですって?」 「耐えられないよ先生。せめてさんだけにするかさんを校長室の前に立たせるかにしてくれなくては。」 「私より竹中くんを織田先生と並べて座らせておけば良いと思います。きっと死ぬ。」 「黙れい!!お前らは毎回毎回、人の授業を荒しよって!今度という今度は赤点をくれてやるぞ!」 「黙りなよクサレジジィ。さっさとご自慢のご先祖サマの所に行きたまえよ。」 「な・・・!竹中ッ!!先生に対してその態度は「Hey,政宗。私と席交換しよう、Please.」 「Ok,Ok. 礼はしてくれるんだろうな?」 「ジュースなら奢ってあげるよ。しかもカルピス。」 「カルピスはやめろ。此処は桃天だろ。そっちにしろ。You see?」 「I see. I see.」 「こら!お前も勝手に話を進めるな!!」 喚き騒ぐ北条先生がなんていおうと私たち俗に言う『センセイに頭を抱えさせるタイプ』なので、赤点とか言ってもあまり効果ないんですよ。ていうかアンタのせいでハンペンを甚振りきれなかったじゃないですか。頬を殴られた分取り返せてないんですけれでもどうしてくれるんだ。 「竹中くんとちゃんって、本当に仲がいいのねぇ。」 「何処が?」 私の隣のまつちゃん実際は政宗の席の隣がお腹を押さえながらそう言いました。どうやら私たちのやりとりはまつちゃんにも人気があったらしい。彼女曰く、 「熟年夫婦みたい。」 らしい。ありえない話ですね、ええ全く持ってゼロに等しい確率で有り得ないです。 ごーん、ごーん 効果音 その一、頭を打ったときの音。とても強く打ち付けた時に限る。大晦日の時になる邪念を払う鐘の音。 前者。 後頭部を押さえてうずくまるハンペンを見るのはとてつもなく面白かった。ついでに敬語を使うのも疲れたので素に戻してみるとこれまた気分爽快晴々愉快。確実にさっきの頬の倍は返せたね。ヘコんだ壁は見てくれはそんなに悪く無いので良いと思う。ざまーみろ竹中半兵衛。 「、ていうか・・・よくもやってくれたね。君本当にこれからくたばろう。」 「お前がくたばれ、くされメガネホモ野郎が。今日という今日は地獄に送ってやるよ。」 「はッ、何度でも言うといいよ負け犬。貧乳。」 私が親指を下に向ければ、半兵衛は中指を上に向けた。 「ホンットーに仲いいよなぁ。」 殴り合いの喧嘩を始めた私たちを見て、政宗がそんな事を呟いたらしい。 ▽情表現なんだって。 (Ha! おい猿飛、あいつらhand間違えてるの気付いたか?)(んー?・・・あー、確かに。ちゃんも竹中も右手でやってたね。)(佐助!右手だと何かいけないことがあるのか!?)(うーんとねぇ・・・左だと地獄に落ちろ、くたばれなんだけどねー・・・)(右だとI love you. Please marry me.なんだよ。)(あい、らぶゆぅ?ぷりーず・・・?)(真田!アンタの英語力は小学生並みか!?)(つまり、愛してる、結婚してくださいってこと。)(は、・・・破廉恥でござるうううううう!!) 「けどさぁ、真正面からやったら負ける竹中って正直ちょっとダサいよね。」 「確かにな。」 ---あとがき--------------------------------------- 喧嘩するほど仲が良い?馬鹿なの書こうとして失敗した感じ。テヘ☆(可愛くない) 半兵衛もっと馬鹿な子みたいに書きたかった!だけど他に結構キャラが出せてよかった。 ほとんど活躍してないけれども。因みに政宗様とのカルピスは政宗様が一人で深読みしてると面白い。 英語は苦手なので辞書から引っ張ってきました。何か間違えているところがあれば指摘ください。 豊臣はきっと学ラン辺りが似合うと思うんです。 <<2007,08,10>> |